麻布大学

Labo Diary Vol.005

Vol.005いろいろな声に耳を傾けることで
より快適な社会をつくっていく

生命・環境科学部 環境科学科 地域社会学研究室 大倉健宏先生

①科学的に数量化しにくい人の気持ちを 社会調査を用いることで明らかにする

 地域社会学研究室では「コミュニティ」について学んでいきますが、研究する際に大切にしているのは、異質多様性を受容すること。つまり、「いろいろな考えを認め合うこと」をモットーに、住みやすい社会を構築する方法を検討していきます。

 研究方法としては、直接会って話す、アンケートに答えてもらう、すでに書かれた文章やブログ・SNSの書き込みを分析するなど、さまざまな手法を用いることで、多くの人の声や考え、意識を探る、「社会調査」を実施していきます。調査によって得られる、科学的な分析では得られにくいデータを用いることで、客観的な事実を見出し、その結果を社会に還元することを目標としています。

②「ペット」と「コミュニティ」をテーマに 米国ニューヨークなどで社会調査を実施

 暮らしやすい地域社会をつくっていくためには、何が必要なのか。地域社会学研究室では、「人と動物と環境の共生」をめざす麻布大学ならではの研究テーマとして、「ペットフレンドリーなコミュニティ」を取り上げています。具体的には、2013年から3回にわたって、米国ニューヨーク市とバークレイ市にて社会調査を実施しています。

 ペットと飼い主とその他の住民がより良く暮らしていくために、どのようなコミュニティが求められるのか。「飼い主の性別」「収入」「1日の散歩量」「エサ」「ペット友人の有無」「ペットの歯周病ケアの頻度」など、さまざまな項目について、地元のドッグパーク利用者を対象にアンケート調査を実施しました。

③地域や家族の中にペットを取り入れた 新たな社会学の研究テーマに各方面が注目

 調査の結果、ペットの年齢や種類によって、ペット友人のネットワークが大きく異なること。飼い主からイヌへの歯周病の伝播は、食器やベッドの共有、ケアの頻度、居住条件が影響していることが判明するなど、「ペットフレンドリーなコミュニティ」を形成していくうえで、数多くの有用なデータを得ることができました。

 実はこれまでの社会学では、地域や家族の中に「ペット」を取り入れて研究することはありませんでした。そうした意味で、現在、当研究室が取り組んでいるテーマは非常に画期的で、今後の展開を含めて各方面から注目されています。また、米国での社会調査は2018年度にも実施予定で、さらなる成果が期待されています。2013年・2014年調査の結果については、大倉健宏,2016,『ペットフレンドリーなコミュニティ―イヌとヒトの親密性・コミュニティ疫学試論』ハーベスト社.をご覧ください。

地域社会学研究室

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