麻布大学

Labo Diary Vol.011

ヒトと動物のより良い関係を 実践や観察を通して探究する獣医学部 動物応用科学科 動物行動管理学研究室 加瀨ちひろ 先生




個体レベルで動物を見つめ 飼育動物たちの幸福な暮らしを実現する

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 牛や豚といった産業動物、ペットなどの愛護動物、あるいは動物園などで見られる展示動物たち。これらの飼育動物に関しては、私たち人間にとって都合の良い飼い方がされていますが、動物の立場に立って快適な環境を提供する責任が、私たちにはあります。

 そこで、言葉を話すことができない動物の心や欲求について、その行動などを通して判断し、飼育管理技術にフィードバックしていく取り組みを行っているのが、動物行動管理学研究室です。所属する学生には、動物園の飼育員をめざしている学生も多く、「動物が好き」の向こう側で、ヒトと動物のより良い関係を考え・実践していく研究に、日々熱心に取り組んでいます。


さまざまな動物の行動特性を正しく見きわめ 科学的根拠に基づいた解決策を見出す

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 具体的な研究テーマとしては、飼育下にある鶏が行う"つつき行動"について、個体ごとの観察からその理由を考察し、防止策を講じていく「採卵鶏のつつき行動の発達・認知」。神奈川県動物愛護センターの協力のもと、収容下にある犬や猫たちのストレスを数値化し、その生活環境の向上をめざす「動物保護施設収容犬や猫のQOL(生活の質)向上の取り組み」。

 ほかにも、希少種の行動特性や繁殖特性についての研究、来園者が動物園の展示動物に与えるストレスの影響について調査を行っています。
 こうした研究により、動物種ごとの感覚能力や運動能力などの行動特性を正しく理解し、科学的根拠に基づいた対策を提案することめざしています。


実際に動物たちとふれ合い、飼育した経験が 学生たちの研究や将来に向けて大きな力となる

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 研究室の学生たちは、365日当番制で緬羊や採卵鶏、犬の飼育管理も担当しています。たとえば、緬羊は毎年繁殖させており、自然交配から出産前後の管理まで、すべて学生が計画を立てて実践。夏前には毛刈りも行い、刈った羊毛でつくったフェルトマスコットは、毎年大学祭で販売しています。

 このようにさまざまな動物種の管理を、学生が主体的に計画・実践することにより、将来に向けた飼育経験を磨くことができるのは、当研究室ならではの特長です。また、対象とする動物種の幅が広いため、動物種によってどのように行動特性が異なるのかを、多角的な視点で見わたすことができるのも大きな魅力といえます。


動物行動管理学研究室では、 ほかにもこんな研究に取り組んでいます。

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 近年、野生動物による農作物被害や家屋侵入被害など、ヒトとの軋轢問題が全国各地で発生しています。そこで動物行動管理学研究室では、イノシシの警戒行動に関する研究にも積極的に取り組んでいます。
 この研究に関連して、2019年9月には、神奈川県伊勢原市の広域獣害防止柵の点検・補修作業に参加。

 ツキノワグマやニホンジカ、イノシシ、ニホンザルなど、さまざまな野生動物が生息し、農作物被害や生活被害などが発生している集落に、大型の野生動物が侵入しにくい環境を整備する作業をお手伝いすることで、野生動物との共存を実現することに向けた、大きな学びを得ることができました。


動物行動管理学研究室 Photo

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動物行動管理学研究室

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