生命・環境科学部 環境科学科 地域環境政策研究室 村山 史世先生
法令や制度の学習、地域での調査、環境まちづくりの実践を通して、コミュニティデザインを体験できるのが地域環境政策研究室です。地域でのさまざまな主体と連携しながら、より良い環境とコミュニティを創造するために必要な知識やスキルを、研究・教育・実践していけるのが、その特長といえます。
具体的な活動のひとつとして挙げられるのが、相模原市緑区にある準限界集落「青根」での休耕田復活、地域開発の環境まちづくりプロジェクト。実際に現地におもむき、地元の皆さんとリアルな人間関係を構築しながら、学生を主体としたさまざまなフィールドワークを展開していきます。
また、麻布大学が積極的に取り組んでいるSDGsに基づいた研究は、重要なテーマのひとつです。SDGsとは、国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている、2016年から2030年までの国際目標のことで、これを実現するための17のゴール・169のターゲットから構成されています。
地域環境政策研究室では、このSDGsについて、社会調査や生態調査、あるいは都会から、青根のような地方集落からなど、多面的な視点から探求。現実の課題について学生時代から体感することで、自分自身の行動が社会にどのような影響を与えるのか。そして、新たな時代に起こりうる課題をどのように解決していくべきか、その方策を類推していく実践力を養います。
さらに、地域環境政策研究室で大切にしているのが「師弟同行型PBL(Problem and Project Based Learning)」。教員が学生に伴走し、ともに学ぶことにより、研究室の室内で完結してしまう受動的な学習ではなく、現実の世界を舞台にした主体的な学びを実践していきます。
加えて、一応の学びのゴールは設定しているものの、状況に応じてゴールを修正しながら学んでいくことで、大学を卒業後も学び続けていく、持続可能な学習の実現をめざしています。未来には、現在と違う環境的な課題が生じます。学生の皆さんには在学中に、そうした前例のない課題に対して希望をもって立ち向かい、笑いながら試行錯誤できる知識と技術、経験を、身につけてほしいと考えています。
昨年度、公益社団法人食品容器環境美化協会の受託研究として実施した「まち美化アダプト・プログラム」を、本年度は地域環境政策研究室を主体とした研究として、引き続き行っています。具体的な内容としては、麻布大学正門からJR矢部駅に至る道路の両側の区画を対象に、学生を主体としたゴミ拾いを定期的に実施。ゴミが落ちている場所や種類などのデータを記録していきます。
研究成果としては、ゴミを拾うことでゴミの分量が減るという物理的な効果以上に、大学生がゴミを拾っている姿が、周辺に暮らす人たちに精神的な影響を与え、ゴミに対する意識に変化が生じることがわかってきています。