麻布大学

在学生インタビュー

動物応用科学科
動物について思う存分知り、
とことん研究できる

毛利 彩紀

東京都・東洋高等学校出身

学内で飼育している産業動物に触れながら実習ができる

動物飼育エリア

馬場

自然木を残した外観が特徴です。麻布大学では多くの学生が馬術に取り組んでいます。

厩舎

2020年に建て替えられた厩舎では、現役を引退した競走馬などを飼育し、乗馬実習、体育授業及び馬術を行っています。

牛舎

飼育している牛を用い、実際に検査方法などを学びます。牛舎は、2022年夏に、建て替えを予定しています。

動物飼育エリアにいる動物たちは、授業はもちろん、クラブやサークルの活動にも使われます。私は授業でこの施設を活用し、特に牛舎での体験が印象深かったです。牛舎では、体脂肪を判定する「ボディコンディションスコア(BCS)」の測定方法や、触診を通して健康状態を把握する方法を習得しました。牛と直接触れ合うことで学びが深まり、教本に載っていないことまで理解できるのが、本学の牛舎の良さだと思います。

世界をリードする最先端の研究がここにある

動物応用科学科の研究力

麻布大学は、科学研究費補助金(文部科学省)・統合動物科学分野において、東京大学、近畿大学に次ぎ、北海道大学とならぶ、日本で3位の地位を確立しています(2017年度)。高い研究力を基盤に、第一線の研究に学生自身が参加することで問題解決能力を養い、卒業後、さまざまな社会的問題に科学的アプローチで立ち向かうことのできる人材を育てます。

動物応用科学科の研究力の特徴

1.動物応用科学科では国内トップクラスの研究実績があります。

2.これまで積み重ねてきた数々の研究が、今につながり、紡いできた歴史として脈々と受け継がれています。

3.高い研究力を基盤にした動物応用科学科の研究は、世界の著名な雑誌に数多く掲載されています。

本学は2020年度から「動物共生科学ジェネラリスト育成プログラム(麻布出る杭プログラム)」を展開しており、希望者は専門的な研究を1年次から行えます。私もこのプログラムを活用し、「動物の距離感を決めるホルモン」に関する研究活動に携わりました。実験手法や調査方法が身についたほか、失敗を恐れずに挑戦する心、諦めない心を養うことができました。

安全で豊かな食生活を守る

食肉加工場

食肉加工場は、動物そのものを学ぶことはもちろん、彼らからの贈り物である肉や乳、卵を、私たち人間がどのように利用し、安全で豊かな食生活を守っていくかを研究・実践する施設です。

サイレントカッター

ソーセージの生地を細切りして練り合わせる装置。最新型のため、高品質なソーセージ生地を作れます。

私は「食品科学研究室」に所属して食肉や食肉製品について研究を行っているため、この施設を頻繁に利用しています。枝肉の解体においては豚肉の部位を細部にわたって理解することができ、食肉の奥深さを実感しました。また、新型のサイレントカッター導入により、目下の研究課題であるサラミづくりがさらに効率的に行えるようになりました。

Close Up!

動物に関する研究に、1年次から携わることができた

私は大学に入学する前から、動物に関する研究に興味を持っていました。本学をより深く知るにつれ、「ここならば自分の学びたい動物について思う存分知り、かねて取り組みたいと思っていた動物の研究をとことん行える!」と確信し、入学を決意しました。

その確信は、入学後に一層強まりました。菊水健史先生の講義で通称「愛情ホルモン」や「幸せホルモン」と呼ばれる「オキシトシン」の話を聞いたときのことです。オキシトシンはうつをはじめとする精神疾患の治療などで注目されている分子ですが、オキシトシンの分泌を調べることで犬が幸せ状態にあるかどうかを分析できるという話に強くひかれました。このような研究が麻布出る杭プログラムの研究プロジェクトのひとつに挙がっていたため、私は早速志願しました。1年次からホルモンの分泌量と動物の距離感を比較し、動物がなぜ共生関係を成立できるのかを追究できたことは、大変貴重な経験となりました。

研究プロジェクト数は私が参加させていただいた2020年度のときからほぼ倍に増え、盛んに各研究活動が展開され続けています。純粋に動物が好きな人、飼っているペットについて深く知りたい人、普段何気なく口にする食材について考えてみたい人――さまざまな人が興味を持てる内容となっていますので、ぜひ多くの方に有意義な経験を得ていただきたいと思います。

授業で幅広く知識を吸収し、研究で深く考える力が身につく

本学の獣医学部には、数多くの研究室が設置されています。日本の獣医学系大学では屈指の数を誇るため、さまざまな観点から動物について深く掘り下げることができます。こうした素晴らしい環境で最大限に吸収しておくべきは何かと考え、現在は食品科学について学んでいます。2年次までは動物の行動に関する研究にかかわりましたが、授業を通して人と動物との豊かな共生社会を実現するにはさまざまな解決策があることを知り、方向性が変わったからです。3年次からは食品科学研究室に入室し、ジビエを通じた獣害問題の貢献に取り組んでいます。鹿肉をサラミとしていかにおいしく加工できるかを目標に、多くの方に鹿肉を好きになってもらうことで獣害の減少につながればとの思いがあります。

日ごろの授業では、多角的な視点から動物の知識を得ることができました。学年が上がるにつれて選択科目が増え、興味のある分野を選べたこともよかったです。私の場合は、犬や猫の問題行動、行動の意味、食品関連を重点的に学びました。産業動物についても豊富な情報を得ることができ、視野が大きく広がりました。

以上のことから、研究活動では人と動物の関係性を深く考える力が身につき、授業では動物に関する幅広い知識を吸収することができました。本学の動物応用科学科の学びを通して、今後の人生に役立つ土台づくりができたと感じます。

大学院でも研究を続け、人と動物との共生社会実現をめざす

私の卒業論文は、乳酸菌配合の鹿サラミ製造に関する内容です。鹿肉に乳酸菌を添加することで、どのような活性が起こるのかをみる研究となっています。乳酸菌には、血圧降下や免疫を高めてがんを予防するなどさまざまなはたらきがあるといわれています。食肉に乳酸菌を加えることで、人の健康維持・増進に寄与できるのかを解明したいです。海外で行われているサラミに乳酸菌を加える手法にならいつつ、健康機能性とおいしさをあわせ持つ鹿サラミを生み出したいと考えています。

卒業後は本学の大学院に進学する予定で、大学院生となってからもサラミについて深く突き詰めていくつもりです。なお本学では、大学4年次のうちに、大学院の科目を先取りして履修できる「メニューⅡ 出る杭を引き出す教育プログラム」が2021年度から導入されています。この制度を活用することで、通常は2年かかる大学院修士課程を1年で修了することが可能となります。修士課程を1年早く修了できるよう、研究活動にしっかりといそしんでいきます。

大学院を修了した暁には企業の研究職に就き、ジビエの発展や代替肉の開発に従事できる人材をめざしています。そして、人と動物とが安心して共生できる社会づくりに貢献できれば本望です。

Pick Up!

自由に使用できる
開放的な空間

ドッグラン・ラウンジ
ペット同伴可能なラウンジ兼セミナー施設で、犬のしつけ教室などのイベントや実習・ゼミを行っています。

動物に触れながら
実践力を養う

コンパニオン・ドッグ・ラボラトリ
広さ142m²の本格的なトレーニング室や飼育室では、犬や猫を対象にしたさまざまなトレーニングが行われます。

実践の場で
発表力を鍛える

卒論研究発表会(古泉賞の選考会)
卒業研究が優秀な者に古泉賞が与えられます。毎年2月に開催される発表会は、自分の研究をプレゼンする実践の場となっています。