麻布大学

在学生インタビュー

獣医学科
充実した施設のほか先生も親しみやすく、
過ごしやすい環境

廣瀬 絵美香

福岡県・福岡大学附属大濠高等学校出身

自分の見立てた診断が適切かを確認できる

産業動物臨床教育センター(LAVEC)

X線撮影装置

LAVECは、大型のX線撮影装置を備えています。通常では難しい、成牛や大きな馬などの大動物も撮影できるので、実習に役立てています。

手術台

昇降・縦転・横転の操作が行える油圧式の手術台です。体重800kgを超える大型動物でも、機械の力で寝かせたり倒したり、強固に固定することができるので、安全な手術を行えます。

電動式大型クレーン

電動式の大型クレーンのレールが付いているので、大きな産業動物も安定して運ぶことが可能です。より安全な治療が行えます。

さまざまな実習でフル活用しました。「産業動物臨床実習」では、LAVECで治療を受ける動物たちの様子を掃除や餌やりを通じて観察することで、健康状態を見る目を養いました。産業動物(大動物)の手術の様子には圧倒されましたが、将来像が見え、期待と責任感がより高まりました。「獣医解剖学実習」や「獣医病理学実習Ⅰ・Ⅱ」もLAVECで行いました。

世界でひとつの命に先進獣医療を提供

獣医臨床センター(附属動物病院)

放射線治療装置リニアック

国内でも数少ない放射線治療装置で、目的に合わせた柔軟な放射線治療に対応できることが最大の特徴です。

手術室

手術室が3部屋完備されており、最先端の手術を実施しています。

かかりつけ医(一次診療)から紹介を受けた小動物に対し二次診療を行うところで、最新の機器がそろっています。5年次になった私は、これから「スチューデントドクター」として診療に参加します。既に学外において一次診療の病院実習へ自主参加していますが、初めて経験する二次診療の現場で、より高度な知識や技能を修得したいです。

実習における代替法教材の活用

レプリカ代替実習

「家畜衛生学実習」では、牛の搾乳模型を用いて実際に搾乳しながら搾乳方法を学びます。

「実験動物学実習」で実際のマウスやラットを扱う前に、レプリカで腹腔内注射の打ち方を練習しました。使用する器具の位置に配慮する必要があると考え、ベストポジションを見いだすことに努めました。手が自然に動くようになるまで繰り返し練習を重ねた結果、本番では慌てず自信を持って対処でき、注射を無事に成功させることができました。

これまで多人数で長時間の実習を行っていたことから、実習用動物に負担がかかっていました。しかし、レプリカによる代替実習を行った後に生体での実習を行うことで、実習用動物への負担が軽減されるようになりました。麻布大学では、さまざまな実習において積極的に代替法を取り入れています。

Close Up!

小動物や大動物、そして公衆衛生まで、獣医師の役割は幅広い

獣医師を志した動機は、中学時代にさかのぼります。飼っていたペットの死をきっかけに、将来は獣医師となりペットを守ることに携わりたいと思うようになりました。そのため、大学に入学する前は「小動物臨床獣医師」を志望していました。

しかし、1年次に選択した「産業動物臨床基礎実習」において、大動物を専門に診る獣医師さんの仕事ぶりを初めて目の当たりにし、これまで持っていた獣医師観が変わりました。すべての処置は診療台の上でなされるものと思っていたため、動物が普段いる柵の中で手術が行われることにまずは驚きました。「大動物を治療する際には保定が肝心」ということで、動物が動かないよう数人掛かりでおさえている様子も非常に印象的でした。また、農家さんの負担を軽減する意味においても、治療上の大原則があることを理解した機会でもありました。その大原則、「その場でできることを、最低限のコストで」というコンセプトを、ひと目で把握することができました。

大動物のほか、「公衆衛生獣医師」という食品安全や感染症対策などにかかわる獣医師の仕事内容も、本学科の授業を通してよくわかりました。

小動物や大動物、そして公衆衛生にいたるまで、獣医師は世の中のありとあらゆる場面において必要とされ、社会的に意義のある仕事をしていることが、数々の授業から見えてきました。

研究室では、まさに「実践力」が身についた

普段の授業はもちろん、研究室で得られたことも大きかったです。私は「公衆衛生学第二研究室」に所属し、食の安全にかかわる研究を通して、検査法や菌分離の技術を学びました。この研究室では、実社会で即戦力となり得るスキル――まさに「実践力」が身についたといっても過言ではありません。なぜなら、本学の卒業生で国の外郭団体にお勤めの方から仕事に関する話を伺った際、私が研究室で習った菌の分離方法は、その方が新人職員研修で受けた内容そのものだと教えていただいたからです。実際の現場ではさらに高度なものを扱いますが、大学在学中にベースとなる基本操作を習得できたことは、大きなメリットです。

そうした実践力を身につける上で何より大きかったことは、先生からのサポートです。研究テーマを決めるところから論文作成の方法まで、すべて親身かつ真摯(しんし)に向き合ってくださっています。先生がいらっしゃるお部屋の扉は開放の状態が保たれており、学生が集う部屋には定期的に足を運んでくださるなど、常に先生を身近に感じられる環境と質問しやすい雰囲気があります。このようなことから、疑問点が生じた場合も即座に解決できています。私たち研究室生が円滑に研究活動を行えるのは、先生がいつも支えてくださるおかげです。

学びやすく、過ごしやすい環境がある麻布大学

将来何になるかまでは絞り切れていませんが、動物の健康のみならず、人の健康づくりもサポートできる獣医師になりたいと考えています。例えば「産業動物臨床獣医師」の場合は家畜を診ることが主な仕事内容となりますが、乳用牛や肉用牛は最終的に牛乳や食肉などの状態で消費者までたどり着くことになるため、家畜の健康を守ることはそれを消費する人の健康を守ることにもつながります。

人の健康と動物の健康は密接に影響し合うという考え方は、世界的にも公的に認知されています。具体的には、「One Health(ワン ヘルス)」という人・動物・環境の衛生に従事する人たちが連携する取り組みがあり、我が国もこうした動きを推進しています。私としては、人と動物のいのちは包括的かつ徹底して守られるべきものと考えています。ですから、個体だけを診るのではなく、さらに広い視野を持った獣医師になりたいと強く思います。

こうした考えに及んだのも、麻布大学の学びやすい環境があったおかげです。学生や先生、さらには大学職員の方まで親しみやすく、とても過ごしやすいと感じています。私が所属する研究室以外にも各研究室で活発に研究活動が行われており、生物系科学分野をしっかり学びたいと考えている方には理想的な大学といえます。ぜひ本学で、私たちと一緒に学んでいきましょう!

Pick Up!

実習に欠かせない

名入れつなぎ
麻布大学特製の名入れつなぎです。気軽に洗濯できるのが特徴。学内の売店で購入できます。

シンプルで実用的

鉗子(かんし)
組織を挟んで把握する手術器具です。挟む組織やその目的に応じ、さまざまな形や大きさのものがあります。

獣医学生の必須アイテム

聴診器
手術に欠かすことができない聴診器。卒業生の中には、学生時代に使っていた聴診器を愛用し続けている人もいるようです。