麻布大学

対談 STUDENT × OB Vol.005

main_txt005.png環境を知り、環境と生きる

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水や大気の分析測定を行う会社に勤務する染谷敬幸さんと、
水環境学研究室に所属する工藤萌さん。
変化を続ける環境問題に向き合うふたりに、お話をうかがいました。

環境に興味を持った理由

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染谷 生まれ育った場所の近くにある手賀沼は、私が子どものころ水質汚染がひどくて、それをどうにかきれいにしたいと思ったのが、環境に興味を持ったきっかけです。

工藤 私は子どものころから川遊びが好きで、水に関心があったのと、地球温暖化などの環境問題を取り上げるテレビ番組を見て、環境を学んでみたいと考えるようになりました。今は水環境学研究室に所属し、汚染物質について調べています。

染谷 高校時代、大学では何もしなくても環境のことを教えてもらえるのだと思っていましたが、実際は「自分で学ぶ」場所だということが麻布大学に入ってわかりました。大学時代は公害問題研究会というサークルに入って環境問題について学びながら、陸上部の活動にも熱心でした。

工藤 私は生協学生委員会での活動に取り組んでいました。ソフトボール大会を企画して運営したことは、とても良い思い出です。

染谷 私が現役のころもありましたよ。卒業してから25 年がたち、キャンパスの雰囲気もすっかり変わりましたが、通っている学生の雰囲気も変わったのかな? 当時は今とは学科名が違ったけれど、学科を超えて、みんな仲が良かったですよ。

工藤 今もそれは同じです。キャンパスに動物がいることもあって、学科を問わず、動物好きな人が多くて、その話題でよく盛り上がります。

労働環境の改善も大切な役割

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工藤 水環境や大気環境、土壌環境など幅広く環境問題を学びたいと麻布大学に進学しましたが、実際に学んでみると、自然環境のことだけでなく、公衆衛生や社会学的な考察など、さまざまな視点から「環境」を知ることができました。最初は学びの分野がかなり広くて、戸惑うこともありましたが、徐々にその面白さに興味がもてるようになりました。染谷さんは今どのようなお仕事をしていますか?

染谷 簡単に言えば、水質や大気の分析をする部署で働いています。例えば工場から出る下水は、どんな水でも流していいわけではなく、下水処理場で正しく処理ができるように、基準が定められています。それが正しい範囲に収まっているかどうかを調べる仕事です。比較的景気の影響を受けにくく、これからも長く必要とされる職業だと言われています。自然環境に関する仕事であると同時に、例えば化学物質を扱う会社で働く人の労働環境が、人体に影響を与えないかどうかを調べて、改善のお手伝いをすることも我々の役割です。それには大学時代に、労働安全衛生という考えを学べたことが大きく役に立ちました。

工藤 麻布大学での学びが、実際のお仕事に役立っていると感じることが多いのですね。

染谷 そうですね。当時は点でしかわからなかったことが、社会に出て線になってつながったということもあります。仕事に必要な器具の使い方や分析操作の注意点、分析・測定機器の操作などの技術も、麻布大学でいろいろと学ぶ機会が多かったので、入社してからもすぐに役に立ちました。ほかにも、分析業界というのはインドアなイメージがあるかもしれませんが、陸上部でのハードな練習や、アルバイト先でお客様との対話で得たことなど、学生時代のすべての経験が、今につながっていると思います。働くということは苦労もありますが、お客さまから感謝をされるときが、一番の喜びであり、やりがいを感じます。

インターンシップで学ぶこと

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染谷 僕が現役の学生だったころは、先生の勧めで研究のために麻布大学以外の研究機関に行くこともあり、そこで卒業論文を書いたりしました。今でいうインターンシップのようなものです。工藤さんもインターンシップに参加しましたか?

工藤 そうですね。私は興味のある分野から、自分でインターンシップ先を調べて参加しました。私のような人もいれば、先生に勧めてもらったところに行く人もいますし、麻布大学でインターンシップの合同説明会が開かれることもあります。

染谷 やはり今は、皆さんインターンシップに参加するのが当然のようになっているんですね。

幅広い視野を身につける

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染谷 卒業後の進路は決まっていますか?

工藤 産業廃棄物処理の仕事に就く予定です。最初は麻布大学で学んだことを生かして、分析業務を行う会社を志望していましたが、ゴミは必ず出るものですし、適切に処理されなければ私たちの生活に悪影響が出てしまいます。麻布大学の授業で得た知識や研究室での経験を生かして、できる限り廃棄物から環境を守れるように、尽力したいと思っています。

染谷 産業廃棄物の処理は、環境問題も視点からも、とても大切なことだと思います。これからも必要とされ続ける仕事です。

工藤 麻布大学でさまざまな視点から環境を学べたことで、進路決定の際の視野も大きく広がりました。

常に変化し続けるものと向き合う

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染谷 環境というのは常に変化しています。法律が整備されると、それに関する環境は良くなる傾向にありますが、一方でそれまで無害だと思われていたものが有害であるとわかることも多いです。でもそれはどんな仕事に就いたとしても同じで、変化を受け入れてやっていくしかないですね。変わり続ける環境問題とこれからも向き合っていきたいと思います。

工藤 小さなことからでも、より良い環境をつくっていけるように、これからも努力していきたいと思います。 充実した学生生活でしたが、もっと勉強したかったという思いもあります。

染谷 私も大学時代にもっと多くを学んでおけば良かったと思ったことがありますよ。今学んでいることが、将来こういうことに役立つと初めから明確にわかっていれば、どれほど楽かと思うけれど、勉強とはなかなかそうはいかないものです。

工藤 そうですね。私も卒業研究を進めているうちに、これもやりたい、あれもやりたいということがどんどん出てきてしまって......。

染谷 その気持ちはわかります。でも大丈夫。社会人になってからも、自分次第で、学び続けることができますよ。

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