麻布大学

対談 STUDENT × OB Vol.004

main_txt004.png食のスペシャリストの道を歩む

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食のスペシャリストをめざす若いふたり。 年は近いのですが、
ひと足先に社会に出た中崎総さんと学生の鹿嶋直哉さんとでは目線が違うようです。
けれども「食の健康や安全を守りたい!」という思いは、ふたりとも一緒でした。

麻布大学へ進学を決めたのは?

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中崎 私はもともと食べることが好きで、将来を考えたときに、食の健康や安全を学べる麻布大学で、スペシャリストをめざしてみようかなと考えて進学しました。

鹿嶋 私も高校生のときに、食べることや調理が好きで、「食」を仕事にしていきたいなと思いました。食について学べる大学を探していたときに、友人が紹介してくれたのが麻布大学で、食に関することをさまざまな視点から学べると思い進学を決めました。

中崎 でも入学当初は食品のことよりも、化学の基礎といった授業が多くて驚きましたよね。

鹿嶋 そうですね。でも学年が上がるにつれて、どんどん専門的な授業が増えるので、入学したころには知らなかったことにもどんどん興味を持てるようになりました。「食」を仕事にしたいと考えたときに、調理師になるという選択肢も自分の中にはありました。でも麻布大学に進学して、この学科で学んだことで、「食」に携わる方法はそれだけではないと知ることができましたし、食の健康や安全を守るということに、大きな魅力を感じています。

わからないことだからこそ学ぶる

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中崎 私は食品生理学研究室に所属していました。鹿嶋さんは?

鹿嶋 食品安全科学研究室で、遺伝子を研究しています。麻布大学に入り、遺伝子の授業を初めて受けたときに、何が何だか全くわからなかったんです。例えば解剖の授業なら、今自分が何を解剖して、どんなことを調べているのかが目に見えてわかります。でも遺伝子はさっぱりわからなくて、だからこそせっかく研究をするのであれば、わからないことについて学んでみようと思いました。

中崎 わからないことを専門にしようと決意するには、勇気が必要だったのではありませんか?

鹿嶋 逆にわからなさすぎて、一体どういうものなんだろうと、どんどん興味がわいてきました。そもそも遺伝子自体が、まだまだ解明されていないことが多い分野です。それでも学会に参加したときに、下級生だったころよりも理解できることが増えていたり、後輩に教えられたりするようになってきたので、今とてもやりがいを感じています。

研究室によって異なるカラー

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中崎 私はペアを組んで、動物を使った研究をしていましたが、就職活動と実験が重なったときには、うまく予定が合わずにけんかになったこともありました。でも自分の考えだけでなく、ほかの人の意見も取り入れながら実験することで、より理解が深まり、良い研究ができたと思います。

鹿嶋 私の研究室ではひとりで研究をすることが多いのですが、みんなテーマは似ているので、いつもお互いの状況を報告したり、相談したりして共有しています。一人ひとりの研究ではあるけれど、皆で研究しているという意識が強いですね。

中崎 麻布大学は研究室が多いので、先生やそのテーマによって、スタイルやカラーに違いがあるのが、面白いところです。

食の安全・食の健康

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鹿嶋 私も卒業後は食品業界で働く予定です。中崎さんは仕事をする上で、どのようなことに気を配ることが多いですか?

中崎 工場でスタッフに指示を出し、安全で安心してお客様に喜んでいただけるケーキを作るのが私の仕事です。それには徹底した衛生管理が必要で、麻布大学で学んだ知識が大きく役に立っています。製造過程に問題が起きれば、会社の信頼が失われてしまうだけでなく、人の健康も害することになってしまいますからね。

鹿嶋 私も学生時代のアルバイトの経験から、衛生管理の大切さと、それを伝える難しさを痛感しています。

中崎 基本的な教育はしていても、どうしてもスタッフによって衛生管理への意識が異なる部分が生まれてしまいます。そのため、仕事中は正しく衛生管理が行われているかどうか、常に気を配る必要がある。そんなときに、麻布大学での経験や知識をもとに、自信をもって指導ができるのは大きいですね。

鹿嶋 自分の手の細菌を増やすという実習がありますよね。1週間培養すると、ものすごくカラフルな細菌が見えるようになるので、自分の手ってこんなに汚いんだとビックリしました。

中崎 それは僕もやりました。きちんと手が洗えている人は、そんなに細菌が増えないんですよね。そういうことを実際に自分の目で見て体験できたことが、より深い知識の理解に繋がっていると感じています。

食のスペシャリストをめざす

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中崎 食のスペシャリストになりたいと麻布大学に進学しましたが、実際に学んでみると、「食の健康」という言葉ひとつをとっても、とても範囲が広いということがわかりました。

鹿嶋 今は情報があふれていますから、インターネットで容易に調べることができますが、それが正しいかどうか判断するのは簡単ではありません。それができるようになるためには、大学で専門知識を学ぶ必要があります。スペシャリストとは、どの分野であっても、正しく情報を判断できる人ではないかと思います。

中崎 正しい判断というのは、仕事をする上でもいつも求められることです。でも決して簡単なことではなく、まだまだ自分もそれが十分にできているとは思いません。これからも常に勉強を続けていかなければいけないですし、そのときに社会人であっても、大学生であっても、わからないことがあれば、どんどん先輩や先生を頼って聞くことが大切ではないでしょうか。誰かを頼ることは悪いことではないし、わからないことをわからないままにしておくよりずっといい。先輩や先生のアドバイスをもとに、それを生かして正しい判断ができるようになれればいいと思います。それから私の職場でいえば、徹底した衛生管理ができる人はスペシャリストといえるかもしれませんが、そこには「お客様のために」という思いが必要不可欠です。お客様に喜んでもらいたいという気持ちを持ち、そのために衛生管理や安全、味や品質保持のための専門的知識を生かせる人が、スペシャリストの道を歩んでいけるのではないかと思っています。

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